右の図は、下記の資料より引用した秩父札所一番誦経山四萬部寺の霊験記の錦絵です。
上部には霊場境内の風景画が描かれ、下部には霊場の縁起にまつわる逸話と挿絵が描かれています。
「観音霊験記《(埼玉県立浦和図書館所蔵資料)
著者吊:歌川広重(二代)、歌川国貞/画,朊部応賀/編
出版者:〔山田屋庄次郎〕
出版年:江戸末期
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右の図の「観音霊験記《の下部の「霊場の縁起《については、次のような逸話が
記述されています。
幻通比丘
當寺の本尊聖観世音は、行基の作にて霊験ことにあらたかにましませり。寛弘四年三月十三日
書写山にて性空上人弟子幻通比丘に告ていわく、武蔵國秩父に行基開基の観音あれども、
東夷の應機はっせず、怠転におよびしことを、薩埵霊鳥を使わしめて吾にしめせり、然るに
よって吾四万部の妙典を誦するといえども、今寂に望めば趣くこと能わず。汝予遺命をたがへず、
秩父に趣きて諸人を化度し霊跡の再発を勤めよとあれば、其後幻通比丘當所に来りて四万部の
供養塚を建て諸人を勧化したれば、佛恩を蒙る者あまたなれば今に参詣の者絶ず、寺号は供養
塚をかたどりて四万部寺といへり。
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