右の図は、下記の資料より引用した秩父札所十八番白道山神門寺(神門山 修験 長生院)の霊験記の錦絵です。
上部には霊場境内の風景画が描かれ、下部には霊場の縁起にまつわる逸話と挿絵が描かれています。
「観音霊験記」(埼玉県立浦和図書館所蔵資料)
著者名:歌川広重(二代)、歌川国貞/画,服部応賀/編
出版者:〔山田屋庄次郎〕
出版年:江戸末期
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右の図の「観音霊験記」の下部の「霊場の縁起」については、次のような逸話が
記述されています。
巫女の神託
當寺は、徃借神社にて大なる榊、左右より空に枝をつらねて、恰も樓門のごとくなりしかば、神門といひしが、
その社退転して跡なくなりしを、後年所の長、里人を集めて再建を談じたるゆへ、まづ神樂を奏しけるに、巫女に
移りて神託ありけるには、この地必ず神社を建てることなく、梵刹を立るときはながく栄えんと告あるによって、
観音の霊場となせしかば、告のごとく今にいたって利生あらたかなり。それ神と佛は水波のへだちにて、両部内證
は一致にて、慈悲深重の誓い何を分かたん。しかれば神を敬ふものは、必ず佛を信じて利益を蒙るべきものなり。
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