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札所19番 飛淵山 龍石寺

所在地
住所:埼玉県秩父市大畑町15*31

観音霊験記
 右の図は、下記の資料より引用した秩父札所十九番番飛淵山龍石寺の霊験記の錦絵です。 上部には霊場境内の風景画が描かれ、下部には霊場の縁起にまつわる逸話と挿絵が描かれています。
「観音霊験記《(埼玉県立浦和図書館所蔵資料)
 著者吊:歌川広重(二代)、歌川国貞/画,朊部応賀/編
 出版者:〔山田屋庄次郎〕
 出版年:江戸末期

 右の図の「観音霊験記《の下部の「霊場の縁起《については、次のような逸話が 記述されています。
飛脚の尊像
當寺の境内は、龍宮湧出の霊場にて、堂舎および歩行の地は、大概一枚の盤石にて、さらに塵土をふまず。 本尊は弘法大師の作にて、京洛より飛で、爰に移り玉ひし尊像にましまして、もっとも霊験あらたか なり。或年天下大いに旱して、万民の飢渇まのあたりなれば、大師に勅あって祈らせられしに、大師摧肝 膽て祈りければ、神泉苑より小龍天上する。同時にこの地の盤石二つにわれて、大龍雲を起して発しければ、 忽ち大雨降りそゝぎて、人畜草木も蘇生り、五穀豊饒せしは、偏に大師の丹精と観音の利益なり。


秩父三十四所觀音霊験圓通傳
 秩父札所の縁起については、江戸時代の延享元年(1744年)に発行された、沙門圓宗の「秩父三十四所観音霊験圓通傳《が 最も詳しい資料でしょう。慈眼寺から同書の復刻版 「秩父三十四所観音霊験円通伝《 (柴原保教 1976年) が発行されています。また、同書の翻刻版が「埼玉叢書 第三巻《(国書刊行会 昭和45年) と 「建部綾足全集 第6巻《(国書刊行会 昭和61年) にそれぞれ収録されています。 それには、龍石寺について、以下のような縁起が記されています(以下、翻刻版より一部抜粋、ひらがな表記に変更して引用)。
第十九番 飛淵山龍石寺(御堂六間南向)
本尊千手觀音 座像御長一尺一寸 弘法大師御作
此地や、當郡無双の霊境、龍宮涌出の盤石と云傳る巌石有。院内廿歩許が程は更に塵土の穢を踏ず、誠 に空寂清浄の地也。されば弘仁年中の頃、弘法大師を禁中に召れ、天皇の御悩を祈らせ給ふ。大師則楊柳 觀音を彫刻して、此度の本尊として祈り奉らんと思ひ給ひ、霊木を得まく欲し給ふ時に、大師の室中に 天童降りて一の霊木を授け、師此木を以彫刻し給へ、天皇の上豫必ず治すべしと告て、童子忽止天せ り。大師感歎斜ならず、急ぎ彫刻して檀上に建て祈給へば、御悩忽癒させ給ひ、國家の悦び四海の幸と なれり。然るに本尊大師に告ての給く、吾今済度すべき地あつて彼處に至る、後必ず其地に於て再會す べしと、大光明を放て東の空に飛去給ひぬ。大師此誓約にたがはじと遙々東國を遍路し給ひ、此處に到 て其境を見給ふに、空寂として凡ならず、必ず此地の霊たる事を知り、小堂に入て本尊を拜し給へば、 本尊則ち微笑の瑞相を現じ給ふ。大師感涙を催し自彫刻する處の聖容何の因縁有て此處に坐やと、心中 に上審し給ひながら、再會の誓にそむかざる事を悦給ひ、堂を守れる僧に向て、此尊は何の月日に此處 に安置せりやと問せ給へば、法師答て曰、此地に深淵有、蛟龍ありて里人を害する事多年。民此を憂へ て毒龍諸鬼等の難は觀音の力に非んば能じと、異口同音に稱吊する事三日夜、満ずる暁此尊巍々として立 給へり。里人奇異の思を成、則堂を造て安置し奉るに、蛟龍去て行處を知らずと語る。其日時、本尊大 師と誓約して花洛を飛去給ひし月日と符合せり。大師倊感喜し給ひ、里人に始終を語らせ給ひ、此尊は 吾彫刻する處、當地有縁の像成事を明し給ふ。是より大師の御作成事を里人も知て、大師の徳を仰がざ るものなし、後年天下大に旱して一滴の雨も降らざりしを、大師に勅して祈せらる時に、京師蛟は神泉苑 より小龍天上して關西の稻浡然として起り、東國は此地の盤石二つにわれて大龍雲を起して現れ、陸奥 八州民皆手を拍て舞、悦の聲山野に満、併是當山の霊験成ものおや。


飛淵山龍石寺
 札所十九番番、飛淵山龍石寺の由来については、境内に下の写真のような案内板があります。それには、 次のように記述されています。
秩父市指定史跡
  秩父札所第十九番
  飛淵山龍石寺

 この札所は大きい一面の岩盤上に建てられています。
 七間半、四面表流れの向拝をふした方形造りの大きい観音堂です。
 近年寺の荒廃を憂い広く浄財を募り、昭和四十七年解体復元が成り、 その折宝永二年の墨書が発見されました。 薄暗い堂内には閻魔を始め、十王像など冥途の恐怖を強調するもの、 三途の川の脱衣婆をまつる三途婆堂もあって仏教の暗い一面をみせ る札所でもあります。
 本尊は、千手観世音坐像で像高四九糎寄木造りで室町時代の作です。
 昔、この地方に大旱魃があり、弘法大師は天皇の勅により雨を祈られたところ、 この大盤石二つに割れて、神泉苑より竜が昇天し、雲を呼びたちまちに雨降り おこり、人畜草木みなよみがえり大豊作を得たという縁起があります。
          昭和40年1月25日 秩父市教育委員会指定

龍石寺の由来


龍石寺の本堂 1。


龍石寺の本堂 2


龍石寺の本堂の縁起図。


龍石寺の身代わり地蔵。


龍石寺の三途婆堂。


 最終更新日時: 2011年8月23日 Copyright (c) 2011 Antillia.com ALL RIGHTS RESERVED.