右の図は、下記の資料より引用した秩父札所二十四番 白山 光智山 法泉寺の霊験記の錦絵です。
上部には霊場境内の風景画が描かれ、下部には霊場の縁起にまつわる逸話と挿絵が描かれています。
「観音霊験記」(埼玉県立浦和図書館所蔵資料)
著者名:歌川広重(二代)、歌川国貞/画,服部応賀/編
出版者:〔山田屋庄次郎〕
出版年:江戸末期
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右の図の「観音霊験記」の下部の「霊場の縁起」については、次のような逸話が
記述されています。
恋ヶ窪の遊女
當山は、越の泰澄毘盧遮那佛の勅によって、加賀の白山を此所に勧請せり。本尊は天照太神の御作といひ傳ふるを
誹るものあれども、毘盧遮那は是日輪にましませば、拠なきにもあらず。
徃昔、恋が窪乃遊女、口中の病になやみて、種々の良薬を用ひたれども、さらに験なかりしに、秩父の僧とて日々
修行に来りしに、よく是に手の内を施しければ、一本の楊枝をあたへて、白山の観音を信じてこの楊枝を用ひなば、
口中の煩いたちまち愈べしと教えしかば、歓びて、客人の送りむかひに忘るゝことなく信心して、かの楊枝をもって
口中をそそぎしかば、忽ち愈たり。しかるがゆへ、今も當寺より夢想の楊枝を出せば、是を受けて利益を蒙むるもの
又少なからず。
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