右の図は、下記の資料より引用した秩父札所三十番 深谷 瑞龍山 法雲寺の霊験記の錦絵です。
上部には霊場境内の風景画が描かれ、下部には霊場の縁起にまつわる逸話と挿絵が描かれています。
「観音霊験記《(埼玉県立浦和図書館所蔵資料)
著者吊:歌川広重(二代)、歌川国貞/画,朊部応賀/編
出版者:〔山田屋庄次郎〕
出版年:江戸末期
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右の図の「観音霊験記《の下部の「霊場の縁起《については、次のような逸話が
記述されています。
唐鏡
當山いまだ開基ならざる昔、尾州熱田の社人拜殿に通夜しければ、異国の美人一面の鏡を捧げていうよう、汝
此鏡を武州秩父郡深谷に奉紊くれよ、彼地は如意輪の霊場なれば後年必ずその験あり、その時此鏡仏像の後光なる
べしと告て失せぬ。社人夢中に是を聞て驚き、あたりを見れば一面の霊鏡あるによって是を持ちて深谷へおもむき、
一人の翁に渡して戻りぬ。
斯て元應元年鎌倉建長寺の道隠禪師が、唐朝玄宗皇帝楊貴妃が冥福のため、自ら刻たる如意輪の像を上空三蔵
に開眼させたるを、ここに持ち来りて本尊となせしかば、かの翁昔受取り置きし鏡を出して、しかじかと告れば、
禪師奇異の思ひをなして、汝は何者と問ば、吾は此深谷に千歳住む悪龍なりしが、救世尊を信じて善竜となれば、
今天生の時至れりという下より、忽ち風雨を起して飛び去とき、庭前にのこす竜骨、今に宝物としてあり、又
昔の武家の順礼札其外霊宝あまたあり。
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