右の図は、下記の資料より引用した秩父札所八番清泰山(青苔山)西善寺の霊験記の錦絵です。
上部には霊場境内の風景画が描かれ、下部には霊場の縁起にまつわる逸話と挿絵が描かれています。
「観音霊験記」(埼玉県立浦和図書館所蔵資料)
著者名:歌川広重(二代)、歌川国貞/画,服部応賀/編
出版者:〔山田屋庄次郎〕
出版年:江戸末期
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右の図の「観音霊験記」の下部の「霊場の縁起」については、次のような逸話が
記述されています。
唄念佛
當寺の本尊は恵心僧都の作にして、又弥陀の三尊もあり。今はむかし兵亂屡々おこりて、
神社佛閣も廃衰せしとき、一人の旅僧来りて、里人にむかいて、當寺の詠歌は何というと
聞きければ、取あへず大音に節をつけて唄ひ終わりて、かくの如く面白く、むかしは唄ひて
順禮せしとおしゆ。旅僧悦びてあらかしこし、その順礼歌は他に勝れたれば忘るゝことなかれ。
最早兵乱もしづまりて太平に復し、永く佛乗起るなりとしめして失せ給ふは、是圓通大士の應化
に在せば、間もあらず泰平となりて、繁昌すること不思議の霊験なり。
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